歴史観光スポット

岩櫃山

群馬を代表する山

群馬県東吾妻町のシンボルで、標高802.6メートルの奇岩・怪石に覆われた山。ぐんま百名山のひとつにして、吾妻八景のひとつ、群馬県を代表する名勝。南側の正面は奇岩が組み合わさったような高さ200メートルの断崖絶壁。この岩場は脆く、ロッククライミングは不可能。登山道は4つのルートがあり、JR群馬原町駅からアクセスする平沢地区からの「沢通り」「尾根通り」、同郷原駅から古谷地区にアクセスする「密岩通り」と「赤岩通り」がある。中腹には武田の三堅城のひとつ、戦国・真田氏の拠点だった岩櫃城跡があり、北関東を代表する山城とされている。

岩櫃山岩櫃城本丸跡

待ち受ける4つの登山道

登山道は、いずれも愛好者からの評価は高い。「沢通り」は、文字通り、ゴツゴツした石に覆われた水のない沢をのぼるルートで鎖やハシゴはあるがビギナー向き。「尾根通り」は、中腹にある岩櫃城の中城や長い竪堀、二の丸を通り本丸を抜けて尾根を進み、「沢通り」に合流するルートで、岩櫃登山の王道。「赤岩通り」は、潜龍院から郷原城跡を抜けて「尾根通り」「沢通り」と合流していくルートで、山の正面を仰ぎ見つつ城跡の雰囲気を感じることができる。「密岩通り」は、「密岩神社」や「鷹の巣岩陰遺跡」といった文化財を感じつつ、岩櫃一のスリル「天狗の架橋」もあるルートで、上級者向け。
4つのルートそれぞれに魅力があり、春夏秋それぞれの表情を4通りのルートで楽しめることになる(冬場は登山自粛)。

岩櫃山

多彩な催しが岩櫃を彩る

毎年11月3日には平沢地区の登山口で「紅葉祭」が行われ、地元でとれた山菜を使った郷土料理などが振る舞われ、地元住民らが登山客と一緒に美しい紅葉を愛でる伝統行事となってる。また、地元の歴史愛好家サークル「あざみの会」による「戦国真田の岩櫃城跡探検隊」は春と秋に開催され、その都度、趣向を変えて、岩櫃を中心に東部吾妻の真田氏の城跡を体験学習およびパネルディスカッションする企画で、県内外の真田氏愛好者から高い評価を得て、多くの観光客が訪れる。また11月頭の連休に合わせて町や県の協力を得て地元任意団体が開催する「岩櫃城 忍びの乱」は、「歴史で遊んじゃ、うんまくねぇんかい!?」を合言葉に、「真田」「忍者」「岩櫃」をキーワードに子供から大人まで楽しめる複合イベントとなっており、県内外から1000人を超える人が歴史と岩櫃にふれあっている。新緑のシーズンにはNPO法人浅間・吾妻エコツーリズム協会によるエコツアーも不定期で開催されている。

古くから愛される山

岩櫃山は真田氏に代表される中世の遺構だけでなく、「密岩通り」の山頂から20メートルほど下には弥生時代の墓「鷹の巣岩陰遺跡」があり、埋葬遺跡としては価値の高い遺跡と注目されている。また、岩櫃山へのアクセス拠点となるJR郷原駅付近では、土偶界のスーパースター・国指定重要文化財「ハート形土偶」が出土しており、縄文時代から岩櫃山は人々の拠り所となっていたことが想像されている。